2 自国に戻ったシンドバッドは驚愕した。バルバッドを救った英雄が丸々と肥えていたのだから。 「アラジンはまだ食事中なんです」 「あ、ああ…」 なんとなく嫌な予感がする。部屋からキャッキャッと楽しげな声が聞こえ、美味しそうな匂いも漂ってくる。 「おーいアラジン、アラジン!」 「おいしいねえ、みんなおいしいねえ」 山積みの皿の中に、特徴的なみつ編みをした人物がいた。ああ……的中してしまった、とシンドバッドは嘆いた。 「おかえりなさい!シンドバッドおじさん!」 「……ああ、ただいま」 太ったアラジンに太ったアリババ。まさか璃里も太って…?不安に駆られたシンドバッドは、ジャーファルに尋ねた。 「璃里はどこにいる?」 「呼びましたか?」 「うわあ!?」 アラジンの後ろから出てきた璃里に驚く一同。おそらくアラジンの身体で隠れていたのだろう。 「よかった…。璃里は普通だ……」 「普通ですか?」 「ああ。君はそのままでいてくれ」 「は、はあ……」 なんとも腑に落ちないが、シンドバッドからの命令なのでとりあえず頷く璃里であった。 そしてアラジン、アリババには、シンドバッドから「走れ」という命令が下された。 シャルルカンの剣の練習に付き合わされていた璃里は、母親のように優しい眼差しで見守っていた。 prev / next |