はちかけ! | ナノ



自国に戻ったシンドバッドは驚愕した。バルバッドを救った英雄が丸々と肥えていたのだから。


「アラジンはまだ食事中なんです」

「あ、ああ…」


なんとなく嫌な予感がする。部屋からキャッキャッと楽しげな声が聞こえ、美味しそうな匂いも漂ってくる。


「おーいアラジン、アラジン!」

「おいしいねえ、みんなおいしいねえ」


山積みの皿の中に、特徴的なみつ編みをした人物がいた。ああ……的中してしまった、とシンドバッドは嘆いた。


「おかえりなさい!シンドバッドおじさん!」

「……ああ、ただいま」


太ったアラジンに太ったアリババ。まさか璃里も太って…?不安に駆られたシンドバッドは、ジャーファルに尋ねた。


「璃里はどこにいる?」

「呼びましたか?」

「うわあ!?」


アラジンの後ろから出てきた璃里に驚く一同。おそらくアラジンの身体で隠れていたのだろう。


「よかった…。璃里は普通だ……」

「普通ですか?」

「ああ。君はそのままでいてくれ」

「は、はあ……」


なんとも腑に落ちないが、シンドバッドからの命令なのでとりあえず頷く璃里であった。
そしてアラジン、アリババには、シンドバッドから「走れ」という命令が下された。

シャルルカンの剣の練習に付き合わされていた璃里は、母親のように優しい眼差しで見守っていた。

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