はちかけ! | ナノ



シンドリアに来て早半年。こもりがちだったアリババは、璃里と周囲の人達の支えにより立ち直って、栄養を摂るようになった。


「そういえばアリババ君、立ち直ったみたいですね」


璃里は横で同じように書類を持ち、歩くジャーファルにそう言った。


「そうですね。一時期はどうなることかと……」

「……璃里も元気になったようですし」

「えっ?」

「君も結構顔色が悪くて、雰囲気がピリピリしていました」


自覚していなかった部分を指摘され、璃里はジャーファルさんには敵わないと思いつつ頭を下げた。


「ありがとうございます。こんなワタシにも、目をかけてくださって」

「いいえ。璃里は大切な仲間ですから」

「ジャーファルさん…!」


ジャーファルが涙ぐむ璃里に苦笑していると、王の帰還の知らせが入った。それを聞いた途端、ジャーファルは顔を引き締めた。


「では、私は迎えに行きますね」

「は、はい!書類、僕が持って行きます」

「ああ、ありがとう」


にこりと微笑んだジャーファルに、璃里もぎこちなく笑った。

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