16 「てめっ…!璃里…?」 「アリババ君……君に話したいことがある」 息を整えながら、アリババに今夜来た理由を伝える。すると、アリババは血相を変えながら叫んだ。 「……なんだよ。お前はシンドバットさんと共謀していたんだろ!?俺が気絶させられるのを、黙って見てたんだろ!!」 「違う!そうじゃない!」 「何が違うっていうんだよ!!どうせ俺じゃ国を救えないって心ん中では見下してんだろ!?」 アリババが璃里に掴みかかり、床に倒されてしまった。璃里の豊かな黒髪が豪奢な絨毯に広がる。 「見下してなんかいない!僕はずっとアリババ君を尊敬している!」 「やめろよ!!もう帰ってくれよ…!」 「シンドバットさんは君をお払い箱にしたわけじゃない!!あのままバルバットにいれば、煌帝国の餌食にされていた!」 「んなの承知だ!!俺は国のために、」 「分かってない。アリババ君は……何も分かってないよ」 冷えた視線でアリババを捕らえる璃里。アリババは無意識に息を止め、ジッと彼を見つめた。 身を起こし、優しく、まるで硝子を扱うような手つきで、璃里はアリババの頭を撫でた。 「違うんだよ、アリババ君。君の故郷を守るために、シンドバットさんは今戦っているんだ」 「戦っ…!?」 「煌帝国と交渉中なんだ。だから、君はのけ者にされたわけじゃないのさ」 prev / next |