15 隣の部屋から出ていく音が聞こえた。隣はアリババが寝ていた部屋だ。きっと彼が目を覚ましたのだろう。 「…行ってみよう」 「「はい」」 静かに廊下に出ると、ジャーファル達も出てきた。おそらくアリババに説明し、納得してもらうために。 甲板の方へ向かい、扉を開けた。キィと小さな音が鳴ったのにも関わらず、アリババはこちらを振り向かなかった。 彼が振り向けなかった理由は、バルバットに居た自分が、船に乗り知らない土地へ向かっていることに気付いたからだろう。 「あの島は…」 「シンドリアですよ」 アリババの独り言に、ジャーファルが答える。シンドリア、何故自分はシンドリアに? 「俺は……またっ…!」 ショックでしゃがみこんだアリババは、やり場のない怒りを床に叩きつけた。 888 今日で、一週間。アリババは部屋に引きこもったまま出てこない。食事は部屋の前にテーブルの上に置いて、空になった皿を回収する。 どうにかしてアリババに話がしたい。そう考えた璃里は、扉が開くのをジッと待っていた。 食事を持って来た係と共謀し、壁に張り付き扉が開くのを伺う。そして、ゆっくりと扉が開かれた! その瞬間璃里は足を挟み込み、扉をこじ開け無理矢理入室したのだ。 prev / next |