14 「いやあ、ほんとにモルジアナと璃里は役に立つ。それに比べて……ゴルタス」 嫌な予感がした。まさか、と璃里が思った瞬間、ジャミルはゴルタスの腹部に剣を突き刺していた。 「え…?」 アリババは目を疑った。仲間であるゴルタスをジャミル刺したのだ。これが、ジャミルという残虐非道な男である。 ゴルタスは巨体で頑丈だが、所詮人間。ジャミルが何度も突き刺す内に、膝を床に着いた。 「ジャミル様、こんな野郎は放っておいて、次に参りましょう?」 「ああ、そうだったな!さあ、行こうか」 (こいつら仲間じゃないのかよ…!?) アリババは、ただアラジンの目覚めを祈るしかなかった。 アリババという少年の力で、次々と罠を攻略していくジャミル一行。 ジャミルは少しつまらなさそうな顔をしていたが、このまま行けばモルジアナちゃんと逃げられそうだと璃里は胸を高鳴らせていた。 「これは……トラン語?」 「トラン語なら昔習ったことがある」 ジャミルが自信満々に胸を張っているのを見て、璃里は幸せな人だなという感想を持った。アリババは静かにジッとその石板を読んでいる。 「わかったぞ!つまり――」 ジャミルが自信満々に説明している中、アリババはその石板を真剣な眼差しで見ていた。璃里は彼がこの石板の謎を解くのではないかと思い始めた。 そしてアリババは、ジャミルの解読は違うと否定した。璃里は内心ハラハラしていた。それはモルジアナも同じであった。 「俺が証明してみせる」 「ほう、面白い。ならばやってみるがいい」 俺の論理は間違っていない。そう自信たっぷりな様子のジャミル。璃里は辟易し、アリババの身を案じた。 「ハッハッハ!!やはり俺の論理が合っていたんだ!」 「そんな…!」 アリババは炎に身を焼かれた。誰もがそう思った。ジャミルは「さあ、次へ行こう」と急かした。 ジャミルが色々と探索している間、モルジアナと璃里はアラジンを看ることにした。モルジアナの心配そうな様子が目に入り、璃里は優しく「大丈夫。もうすぐ起きるよ」と頭を撫でた。 prev / next |