13 迷宮へ入った璃里達。ジャミルは数多くの兵を携え入ってきたが、今やゴルタスとモルジアナと璃里の三人しか居なくなった。 「先に入って来た奴がいる。モルジアナ、探せ」 「はい」 声には出さないが、目でモルジアナに「気をつけて」と送った。返答としてモルジアナは小さく頷き、素早い動きで探し始めた。 彼女の力を見た璃里は少し目を輝かせた。すごい、人間があんなに軽々と跳ねるなんて! 「ジャミル様、あちらに」 「よくやった、モルジアナ」 そう言ってジャミルはモルジアナが指す場所に行くと、金髪の少年と青髪の少年がいた。金髪の少年はこちらに気づき、警戒して剣を出していた。 はて、どこかで見たことがある顔だなと璃里は思った。璃里は思い出した。 盗み食いしようとした時に、強制的に土下座をさせた奴で、隣に寝ているのは盗み食いをしていた子供。 さらに青髪の方には金色の鳥の形をしたもの――ルフが飛び回っていた。こいつ、マギだ…!占い師である璃里は、ルフが見える。 「な、なんなんだよアンタら!」 「私は領主のジャミルだ。彼は預かるよ」 「な!?んなことさせっ…!?」 「残念ですが、そういうわけです」 璃里の顔を見たアリババは瞬時に思い出した。アラジンと盗み食いをしていた奴だ!でも、何故ジャミルと…? その疑問は直ぐに解決された。彼の足元にある足枷を見てしまったからだ。 「……お前、奴隷にされちまったんだな」 「っ!別に…キミのせいじゃないさ」 小声で囁いた璃里の言葉に、アリババは動きを止めた。こいつ……もしかして、諦めている…? 「璃里、行くぞ。さっさと攻略せねばならない」 「はい…」 「っ!?待てよっ!」 アリババが追いかけようとすると、ジャミルが立ち止まった。そして、アリババの方を向いて、こう言った。 「わかった。君も迷宮を攻略しに来たのだろう?ならば俺達と協力しないか?」 「協力…?」 「ああ、強制はしないさ。なんたってここは迷宮だ。身分を気にする必要はない」 そう言うジャミルだが、アリババの喉元には璃里の短刀が切りつけられている。 つまり、アリババには選択肢がないのだ。何が強制はしない、だ。アリババはムカムカしながら、「是非ともお願いします」と言った。 prev / next |