12 今日あった出来事を、モルジアナが目を輝かせながら話した。 金髪と青髪の少年が、勇敢に自分と小さな子供を助けてくれたこと。ブーデルを押し退けて、助けたそうだ。 青髪の少年は、魔法使いのように白いターバンに酒樽を乗せたそうだ。 「そんな面白いことがあったんだね」 「はい。あの方達とは以前も助けられたことがあって――」 「モルジアナ、璃里。今からお前らは迷宮に行く」 モルジアナの話を遮ったのは、ジャミルの手下だ。迷宮という言葉を聞き、璃里は顔を強張らせた。 「迷宮に入るというのは、自殺行為に近いもので、入った者で帰って来た者はいないと言われる場所だ」 ジャミルの元へ向かう途中、璃里はモルジアナに迷宮の説明をしていた。彼女はそれを聞いて、顔を少し青くした。 「あっ、でも、ワタシが何とかしてモルジアナちゃんを助けるから!大丈夫!」 「私も助けます」 「ありがとう。それで、迷宮を攻略した暁には、金銀財宝が与えられて、金属器を手に入れるそうだよ」 「金属器?」 璃里は頷いた。聞いたところによると、金属器は武器の様な物らしい。彼が説明し終えた頃には、屋敷の外に出ていた。 「来たな、モルジアナ、璃里」 「…………」 ジャミルを見ると、昼間のことを思い出してしまう。璃里は吐き気を覚えながら、俯いていた。 「さあ、迷宮へ行くぞ…!」 prev / next |