はちかけ! | ナノ


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モルジアナはそこまで聞いて、目を見開き口元を手で押さえた。璃里は申し訳なさそうに彼女の背中を優しく擦った。


「その後、自分のしでかした事の大きさに気づいて、国から逃げ出した。ワタシの兄上は、血眼になってワタシを探しているよ。彼はあんな義母でも好きだったからね……」

「璃里さん……」

「ワタシは人間を殺した犯罪者さ…。妹はあまり気にしていなかったけどね」


モルジアナは何も言えなかった。ただただ、背中から伝わる手のひらの温かさを感じていただけだった。


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翌朝、モルジアナは何処かに連れて行かれた。璃里は部屋で待機し、支給された堅いパンと水を食べた。その不味さに顔をしかめたのであった。


「やあ、璃里。今から君を試そうと思っている」

「はい、分かりました」

「うん?昨日よりマシな態度じゃないか」

「そんなことありません」


ジャミルはふうんと声を漏らした。璃里はもう暴力はうんざりだと思い、この暴君の命令を素直に聞いておけばいいと拳を握り締めた。


「よし、まずは足枷を付けろ」

「っ、はい」

「付けたか?うん、やっぱりお前には似合うなあ」

「ありがとうございます」


野郎から褒められても嬉しくない。そう実感した璃里であった。そうこうしていたら、下っ端の者が手錠を付けた男を連れて来た。


「さあ、コイツを殺せ」

「えっ…?どういう意味ですか…?」

「分からないのか?この男を殺すのだ。コイツは罪人でな、悪質な手口で…………」


話が耳に入らなかった。人を殺す?また私は罪を重ねるのか?璃里は懐を探った。ない、香を入れた袋がない!


「――という訳だ。璃里、殺せ。でなければお前を殺す」

「っ!?」


両隣に居た下っ端が剣を璃里の喉元に近づける。殺されるのか?僕は嫌だ!私はまだ母さんを見つけていない!モルジアナちゃんの話もたくさん聞きたい!

思考がぐるぐる回る。どくん、と璃里の血が動いた。アイツだ。彼はすぐに分かった。ジャミルは「こーろーせ!こーろーせ!」とシュプレヒコールを上げている。


「妖刀……マサムネ…」

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