7 ようやく落ち着いた璃里は顔を少し赤らめながら、モルジアナに礼を言った。 「いえ、私は何もしていません」 「本当にありがとう。そして…恥ずかしいところを見せてしまった」 今はもう背中に回していた手を離していたが、モルジアナは何となく璃里の手を優しく握り締めていた。彼はそれを恥ずかしがりながらも、そのままにしていた。 モルジアナは先ほどの事を聞きたいと思った。璃里が泣き叫び、怯えている元凶を出来るだけ取り除きたい。意を決して、彼に尋ねてみた。 「あの…話していただけませんか。あなたのことを」 「……ワタシは、モルジアナちゃんが思っているような人間じゃない。弱くて…愚か者だ」 「私はファナリスの末裔で、ここの領主ジャミルに買われました。でも…もうすぐまた売られるんです…!だから、せっかく出会えたあなたのことをたくさん知りたい!」 「モルジアナちゃん…」 「すっ、すみません。出過ぎた真似をしてしまいました…」 「……わかった。ワタシの過去を、ああなってしまった原因を……君に話そう」 璃里は覚悟を決め、モルジアナを見た。モルジアナはその強い目に、思わず固唾を飲んだ。 「あれは、ワタシがまだ物心つかない頃だった――」 prev / next |