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君を汚すあらゆるものから

※遙がちょっと(?)可哀想



「はーるかっ!久しぶり!」

「…ああ、久しぶり」

「なんだよ、相変わらず冷めてんなー」


突然の訪問者である俺を遙は(恐らく)快く迎え入れた。うんうん、なんだかんだで俺に弱いんだな!


「はい、お土産のさばパイ」

「さばパイ…?うなぎパイじゃないのか」

「うん。なんかさ、俺の地元の会社がうなぎパイに対抗して、さばパイを有名にするぞー!ってね」

「ふうん……」

「あ、俺がお茶入れてくるよ。いきなり押し掛けてきたんだし」

「…ありがとう」


土産のさばパイをテーブルに置いて、俺は台所に行った。ええと、夏だから麦茶あるのっかな〜……ねえな。
ため息を一つ吐き、俺は一応買ってきたペットボトルの緑茶をコップに注いだ。そして氷を入れて、サラサラ〜っと。
おお、すごい!水に触れた途端溶けていく……!


「遙〜お待たせ。緑茶でございます」

「ん」


遙にコップを渡して、一息つく。ふう、ここら辺、迷路みたいで迷っちゃったんだよね。疲れた。


「あ!そういえばさ、来る途中で真琴に会った。でかくなったなあ……俺と変わらないし」

「成長期だから仕方ないだろ」

「まあね…。はあ、疲れたーハルちゃん癒して」

「ハルちゃんって呼ぶな」

「ハルちゃあん」

「ウザい、くっつくな」


なんてじゃれあっていたら、遙は眠そうに目を擦り始めた。眠いの?って聞くと、うんと素直に返事をして俺の肩に顔を擦り寄せてきた。


「寝ていいよ」

「ん……」


案外あっさりと遙は眠りに落ちた。さて、と。寝ちゃったこいつを起こさないように、風呂場に連れて行くか。




浴槽が水で満たされるまで待っていたら、遙が起きてしまった。まだ覚醒していないのか、寝ぼけた眼できょろきょろしている。


「おはよ、遙」

「名前…?なんで、風呂に……」

「遙はさ、俺のこと好き?俺はお前が大好きなんだけど、遙は水より俺が好き?」

「…意味が分からない。急になんだ」

「ああ、答えられないならいいよ」


答えるようにしてあげるから


遙が口を開く前に、俺は躊躇せずに彼の後頭部を掴んで、水が張ってある浴槽にぶちこんだ。
懐かしいな、これ。昔、たまに真琴にしていたけど、よくあいつ泳げたよなあ。流石、可愛い俺の従兄弟というか。
さてさて、俺の大好きな遙は、きれいになるかなあ?

「っ! んん゙!」

「はは、怖いよな。でも、もうちょい我慢して。そうすればきれいになるからさ、な」


遙の腕を一まとめにしておいて正解だったな。抵抗する力が半端ねえもん。計画が上手く行き過ぎて笑えてしまう。
なあ、遙。お前が大好きな水で清浄されてる気分はどうだ?最高?気持ちいい?
段々遙の動きが弱くなってきたので、後頭部の髪を引っ張って引き上げる。あ、ちょっとだけ髪が抜けちった。


「っはあ!! はっ…はあ…」

「ねえ、遙は水と俺……どっちが好き?」

「かはっ… けほっけほっ!わ、からない……」

「そっかぁ、じゃあわかるまでしような」

「っ!! 待って、待ってくれ……!俺は…」

「俺は?」

「名前が好きだ…… 好きだからもう、やだ…!」


ありゃりゃ、泣き出しちゃったよ遙ちゃん。まあ及第点かな、可愛いし。ぐずぐず泣いている遙を優しく抱きしめる。飴と鞭だ。


「ごめんな、遙…。俺も遙が大好きなんだ。だから……遙が離れていくんじゃないかって思ってさ。ごめんな」

「ふ、っうう…ぐすっ 名前のバカ……」


あーもう遙かわいすぎ。


君を汚すあらゆるものから
(俺が守ってみせるよ)

title by 休憩

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