気づけよバーカ!
「凛!好きだ!付き合ってくれ!」
「あーまた今度な」
「凛ーー!!結婚しよ!!」
「男同士は無理らしいぜ」
「俺に毎朝味噌汁作ってください……!」
「俺、朝はパン派だから」
名字名前、歳は17、スリーサイズは秘密だ。そんな俺だが、なかなか松岡の凛ちゃんにスルーされる。マジ泣きうるうる丸だわ……。
そのことを真琴に相談したら、名案を思いついたみたいで、顔を明るくして話し始めた。
「作戦名は名づけて『押してダメなら引いてみな……!』だよ!」
「…………あー、うん、なんとなく想像できたわ」
「ちょっとなんだよそのシラケ具合!でも、絶対!上手くいくよ」
「どっから来るんだ?その絶対は?なあ?」
「ちょっと怖いって……!と、とにかくっ!試してみるべしだよ」
真剣な真琴に気圧され、俺は自分から凛に話しかけないようにした。例え顔を合わせようとも、挨拶のみ……!嗚呼、男は辛い…。
俺の異変に気づいたのか、凛から俺に「ちょっと二人きりで話がある」と言ってきた。キターーーー!!ついに待ってたぜこの時をな!!
「で?話ってなんだよ」
わざとらしく冷たい態度を取ると、凛はムッとした顔になった。か、かかかわいいいいい!!!!こんな顔もすんのかよおおおお。
心の中を読まれないように、必死にポーカーフェイスを保つ。読ませてはならぬ……!
「…んだよ、それ……!」
ガッと凛が掴みかかってきたー!うほ、凛の手が!今俺のシャツを握ってるよ!皺になる?構うもんか!
「チッ、皺になるだろ……離せよ」
「……嫌だ」
「あ?意味わかんねえし…」
ごめんね凛!もっと強く握って構わないんだぜ!?わざと低い声を出したら、凛の肩がびくりと震えた。マジで良心が痛む……!
「お前はっ……、俺が…その、好きじゃなかったのかよ!?」
「あーうん、そうだったな」
「俺は!お前が話しかけてこなくなって……ずっとお前のことばっか考えてて……!」
えっ?えっ?ずっと、俺のこと考えてくれてたの!?やべえ、今なら死ねる……グッバイ現世、ハロー天国。
「お前が……好きなんだよ!」
「そっかそっか、好きか…………はあああ!?」
「っ!いきなり大声出すなよ……!」
「今、なんつった?は?ええ!?」
ちょっとちょっと!!凛が……凛があああああああああ!!!!
「だから……名前が好きだっつってんだろ」
「なに!?てことは両想いかよ!!」
「…………は?お前、俺のこと嫌いになって……」
「…………ごめんなさい」
それから俺は洗いざらい話した。凛はめちゃくちゃ怒ったけど、今度水着を買うのに付き合うっていうデートを提示したら許してくれた。かわいいいいい!!
「それで?被害があった俺には?」
「…………ん」
「なにこ……いらねえよこういうのは!!なんで江ちゃんの写真持ってるんだよ!変態か!?」
「ごめんって〜ありがとな、まこちゃん」
「もう……」
真琴が引き下がってくれてよかったよかった。じゃなきゃ、この江ちゃんに扮した凛の苦労が報われないもんな!!
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