ニャンダフル☆ワールド
目が覚めたら、真琴が俺を凝視していた。そりゃあもう、穴が開くくらい。どうしたんだと口を開いたら、猫の鳴き声が聞こえた。……あ?
「かっ……可愛い…!」
「ニャ、ニャアア!?」
「見かけない顔だね〜。なんか……アイツに似てる」
「ニャア……?」
アイツって誰だよ。言いたいことがあるのに、口から出てくるのはにゃあにゃあと猫の鳴き声ばかり。それに、真琴の膝に乗せられてちょっと複雑だ。
「名前に、似てる……。ふふ、目付きが悪いところとか」
「ニャアン…?」
「ごめんごめん、そんなに怒らないでよ」
俺が目付き悪いの、気にしてるって知っているだろ。ムッとなって、目の前にある真琴の首筋を甘噛みしてやった。くすぐったそうに笑う真琴に、心が踊った。
「こら、やめろって」
「やだ」
「えっ…名前!?」
「あれ、元に戻った」
いつの間にか、猫から元の俺に戻っていた。まだ身体が固まっている真琴に、にやりと笑った。
「てめえ、よくも俺のコンプレックスを言いやがったな」
「ええ!?ご、誤解だって!」
「言い訳は聞かねえ」
「っあ、ちょっと名前噛むなって……!」
知るか。涙目になっている真琴を無視して、俺はまた同じように首筋に軽く歯を立てて舐めた。すると、面白いくらい真琴はびくびく反応する。
「はは、可愛いのはやっぱりお前だろ。真琴」
ニャンダフル☆ワールド
―たまになら、こんな世界もありかも?
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