!とある朝の日常風景
自転車置き場に着き、鍵を差し込み解錠する。かいじょーってなんか……あった気がしないでもない。
「あー朝からだりーなー」
「もう少し早く漕げよー」
「たまにはお前もこげ!」
「あははー栄司パパの背中ひろーい」
僕の肩がびくりと震え「お巡りさんこいつ!」と叫ぶ。高尾が面白がって、さわさわと腰を撫でる。
「わあっ!ちょっと蛇行すんな!」
「お前が変なことするから!」
ぎゃんぎゃん騒ぎながら登校する。なんだかんだで僕はこの時間が好きだ。校門が近づくと、降りなきゃいけないのは嫌いだけど。
「あ、高尾君おはよーついでに田中もおはよー」
近くに居たクラスの女子に挨拶される。「おはよ」と返す高尾。
「俺はついでか」
「ドンマイ!」
「あはは高尾うざーい、そういうのうざーい」
「つまりアレだよ、生まれた星の下が悪かったってやつ」
「……僕、高尾よりは告白されてると思うのに」
そう言うと高尾は目を見開きこちらを見る。
「なんだよ、その文句ありありな顔は」
「いや物好きもいたんだなーって」
「お前、相手に失礼だろ!」
「ツッコミどころ違うだろ!」
バシバシと高尾の頭を叩くと「いてーよバカ!剣道バカ!」と罵られた。こちらも「うっせーバスケバカ!」と返した。
(3/52)