!AM11:48
騒がしい文化祭が終わり、周囲の人間が期末考査に泡を食って疲れはてていた。そして、長い夏休みに入る直前の週だった。
「お泊まり会…?」
「そ。俺らは部活動生じゃん?だから合宿がある。すなわち、」
「さっさと宿題を終わらせて部活に励もう作戦だ」
「俺のセリフ!!」
「断る」
この三人が集まったところで捗るわけがない。すると田中はパンッと両手を顔の前に合わせ、俺に頼み込んできた。
「お願い緑間!お前みたいなストッパーがいないと、絶対に終わんない!!高尾が!!」
「俺かよ!!まー、どうせ真ちゃん暇だろ?」
呆れてため息が出た。おそらく高尾のためなんだろう。どこまで田中は過保護なのだ。
「…仕方ない。やってやるのだよ」
「ありがと緑間!」
「部屋片付けておけよ!」
「は?どういう、」
「やっべ、鐘鳴ったぞ」
キーンコーンカーンコーンという何とも間延びしたチャイムの音で、俺の声はかき消されてしまった。
嫌な予感しかしない。残念なことだが、こういった予感は的中する。
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