!別れ
まず相談できねーって。そう思ったけど、これは俺の心のタンスにしまっておく。
「解決は…できないかもしれないけど、高尾の気持ちを楽にすることはできるっつうの」
「そーかそーか、そりゃありがたい」
茶化してやると、栄司は生真面目そうな顔になり、俺の頭を撫でた。
「だから、一人で抱えこむなよ」
「……ははっ」
「僕が真面目に言ってんのに!!」
「ぶふ、栄司の真面目な顔、おもしろぶはははは!」
栄司は顔を真っ赤にして、自転車の鍵を外した。
「うっせーな!もう高尾置いてく!」
「うお、ちょっと待て!」
「……早く乗れ」
ため息を吐き、俺を待っててくれる栄司は流石。
「なんかあったらさ、栄司に一番早く言うから」
「うん」
「栄司も、ちゃんと言えよ?」
「あとさ…」
「うん」
「これからも、友達としてよろしくな」
「当たり前だ」と栄司は苦笑しながら返した。俺は泣きそうになりながら、荷台に腰を下ろした。
もう、この淡い恋心とはおさらばだ。
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