幼なじみ | ナノ

!おやすみ、

リンゴを食べ終え、しんと静まった俺の部屋。沈黙がなんとなく痒い。いつもなら俺が軽口を叩くけど、今日は風邪のせいかそういう気にならない。


「そういえばさ、」


栄司が口を開く。ぼんやりと俺は形のいい唇を見て、エロいなあと思った。


「緑間がちょっと心配してた。意外だよな。あいつ、傍若無人だと思ってたけど」


ちらりと見える白い歯は、さっき俺と食っていたリンゴをかじっていて、


「高尾?」

「な、なんだよ」


気づいたら栄司の顔が目と鼻の先にあってびっくりした。こいつ、いつの間に。


「やっぱまだ熱があるか……。あの緑間がさっさと治せってさ」

「へえ…」


俺の生返事に栄司は眉間に皺を寄せた。ぽんぽんと俺の頭を叩くと、布団をかぶせた。


「寝ろ」

「栄司、」
「僕はここにいるから。おばさんが帰ってくるまでだけど」

「……うん」

「いい子いい子」


子供扱いにムカッとしたが、眠気でぼんやりしてきた視界に抗えず、そのままゆっくりと瞼を下ろした。


「おやすみ、和成」

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