!よし、乗れ
「あ?誰だよてめえ」
「秀徳高校三年、バスケ部の宮地だ。その制服……インターハイで負けた…どこだった?」
「知らねえなら言うなよぉ!」
「宮地先輩…!」
「誰かと思ったら、緑間のクラスの奴か」
知らないで助けてくださったんですか!?僕と三人、目を丸くしてしまった。
「チッ…帰るぞ」
「えっ!?タクゥ、いいのかよぉ?」
「うっせえ!田中…お前のことは許さねえからな」
意外とあっさり去って行った三人。よかったとため息を吐いた。もしかしたら宮地先輩も殴られていたかもしれないから。
「大丈夫か?」
「すみません……大丈夫です。自分で立て…痛っ!」
「服で隠れている部分を狙ったか……。よし、乗れ」
「え、ええ!?いや、僕歩けます!もう少し休んでから行きますから…」
「うっせえな、ごちゃごちゃ言わずに乗れ!」
おんぶなんて恥ずかしすぎるだろ!!丁寧に断ったのに、妥協して肩を貸してもらうことになった。
保健室に着くまでの道中、沈黙が続いた。何か喋った方がいいのかな…?
「お前、名前は?」
「田中栄司です」
「よろしく、田中。そういや、高尾がお前を探してたぞ」
「そうですか…ありがとうございます。あの、高尾と緑間にはこのこと言わないでください」
「……分かった」
そこから保健室に着くまでずっと沈黙だったけど、心地のよい沈黙だった。
(42/52)