幼なじみ | ナノ

!よし、乗れ

「あ?誰だよてめえ」

「秀徳高校三年、バスケ部の宮地だ。その制服……インターハイで負けた…どこだった?」

「知らねえなら言うなよぉ!」

「宮地先輩…!」

「誰かと思ったら、緑間のクラスの奴か」


知らないで助けてくださったんですか!?僕と三人、目を丸くしてしまった。


「チッ…帰るぞ」

「えっ!?タクゥ、いいのかよぉ?」

「うっせえ!田中…お前のことは許さねえからな」


意外とあっさり去って行った三人。よかったとため息を吐いた。もしかしたら宮地先輩も殴られていたかもしれないから。


「大丈夫か?」

「すみません……大丈夫です。自分で立て…痛っ!」

「服で隠れている部分を狙ったか……。よし、乗れ」

「え、ええ!?いや、僕歩けます!もう少し休んでから行きますから…」

「うっせえな、ごちゃごちゃ言わずに乗れ!」


おんぶなんて恥ずかしすぎるだろ!!丁寧に断ったのに、妥協して肩を貸してもらうことになった。

保健室に着くまでの道中、沈黙が続いた。何か喋った方がいいのかな…?


「お前、名前は?」

「田中栄司です」

「よろしく、田中。そういや、高尾がお前を探してたぞ」

「そうですか…ありがとうございます。あの、高尾と緑間にはこのこと言わないでください」

「……分かった」


そこから保健室に着くまでずっと沈黙だったけど、心地のよい沈黙だった。

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