!一緒くたにされたくない
裏から出たところで、わんこ高尾に遭遇した。あれ?お前狼男じゃなかった?
「高尾……なに、その犬耳」
「よくわかんねーけど、他クラスに拉致られて、ビラ配りの手伝いさせられたんだよ」
「……お疲れ」
「ってかなに!?真ちゃんのメガネおかしいし、栄司は猫耳付けてるし…あんなに嫌がってたのに」
高尾が手を伸ばしてくるから叩いてやった。うむ、ストレス解消。高尾はムッと頬を膨らませてるけど。
「緑間はメガネを壊して、僕は付けなきゃいけなくなったんだよ」
「へー。てか、別に少しくらい触らせてくれたっていいじゃん!減るもんじゃねーし」
「触んな!何か減る!緑間助けて!!」
「真ちゃんは触りたくねーの?」
高尾が緑間にそう投げ掛けると、緑間は「お前みたいな変態と一緒くたにされたくないのだよ」とバッサリ切ってくれた。わあ、安定の緑間。
ここで僕の助けの女神が現れる。名前は知らない女子が、扉から顔を覗かせて口を開いた。
「高尾くーん!緑間くーん!接客お願ーい!!」
「呼ばれてるぞ、高尾君?」
「チッ!覚えてろ栄司!!」
「はいはい」
グイグイ引っ張られる高尾に呆れたように返事をしておいた。まったく、面倒だな。
再びチラシ配りに出かけよう。山田さんは休憩中だけど、暇だから昼飯を買うついでに行くか。
チラシの束を掴み、意気揚々と外に出た。
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