!協力してほしいの
見ちゃったんだ、高尾君が栄司君にキスしようとしているとこ。あたしはそう言って笑うと、高尾君は困ったように笑って手を頭に当てた。
「いやいや、俺は男よっか、可愛い女の子が好きなんだって!」
「そうなんだー。じゃあさ、何をしてたの?」
「んー?こいつを起こそうかなって」
ニコニコお互い笑いながら、相手の腹を探る。正直なところ、高尾君って観察力が高いし、栄司君よりガード固いし、よくわかんない。
でも、栄司君を手に入れるためなら、高尾君と少しは話さなきゃいけない。そのおかげで、あたしの多分は、確信に変わったわ。
高尾君は、栄司君が好き。
「あ、高尾君、起こすのはちょっと待って」
「え?ああ、うん」
「高尾君、あたしね、栄司君が好きなんだ。秘密だよ?だからね、協力してほしいの」
「協力?なんで俺が?」
「高尾君って栄司君の幼なじみなんでしょ?栄司君のこと、色々知ってそうだし!」
「まーそうだけど……」
歯切れが悪いわね。あともう一押しってとこかな?あたしは更に、畳み掛けるように言った。
「栄司君って彼女や好きな人がいるの?」「んや、いないと思うけど」
「やったー!じゃあ高尾君、恋のキューピッドよろしくね!」
慌ててあたしを追いかける高尾君より先に教室を出る。よーし、もう少し♪
「ふふ、クリスマスまでにはゲットしなきゃ…!」
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