!買ってきてくんね?
それから数日間、僕と高尾はあまり会話をしなかった。顔を見れば挨拶は交わすから、まあいいかなと日和見していた。
そもそも、僕は文化祭の実行委員という面倒な役を負わされているから、そこまで手が回らないわけで。
「田中君、こんな感じでいい?」
「おーい、田中!ペンキが足りねえー!」
「いいよ。ペンキは…緑間、買ってきてくんね?」
「何故俺が?」
渋る緑間の背中を押すが、なかなか動かない。こいつどんだけ行きたくねえんだよ…!
「栄司が困ってんだろ?行こうぜ、緑間」
高尾が緑間の腕を引いた。あれ、真ちゃん呼びしないんだ。井熊が僕の肩に腕を置き、耳に囁いてきた。
「お前らさ、なんかあったの?」
「……特には」
「なんだよ、そのビミョーな間は」
「ほんとにないって。ていうかさっさとやろ。まだメニュー表書いてないじゃん」
「おーっとそうだったな。あと2週間だし、急がなきゃな」
これで、よかったんだよな?僕と高尾が疎遠になるのに比例して、緑間とも話さなくなった。なんか、しんどいな。
「栄司君、大丈夫?顔色…よくないけど」「平気だよ。それより山田さんの方が働きすぎだって。大丈夫?」
「あたしもへーき。帰ってシャワー浴びたいなあ」
放課後の時間を費やしているけど、なかなか終わりが見えない。特に衣装が。もう既成のもんでいいじゃん。
とにかく、早く高尾と喋りたいな。そんであいつのカード自慢も聞いて、TVゲームで夜更かししたい。
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