幼なじみ | ナノ

!緑間はミイラ男

「はい!お化け屋敷!」

「お化け屋敷ね。他には?」


もう出尽くしたのだろうか。手を挙げる人がいない。黒板には喫茶店やメイドカフェ、執事喫茶……ここのクラスの奴らはどんだけ喫茶店が好きなんだよ!?

多数決で決めるか。順番に言っていき、票数が多くなったものにするつもりだったんだけど……。


「お化け屋敷と喫茶店が同票数か」

「どうしよう…?」

「…どっちもやればいいんじゃない?」

「えっ、でも、できるのかな…?」

「お化け屋敷と喫茶店を合わせるのどう?」


聞いてみるとみんなが賛成してくれた。どっちかに決めるのかめんどくさかっただけなのに。そこから発展していって仮装して客をもてなすというコスプレ喫茶が誕生した。


「はー疲れた。高尾は何するの?」

「んー…なんでもいーわ」

「そっか。緑間はミイラ男か」

「何故ミイラ男なのだよ!?」

「だっていつも左手をテーピングで巻いてるから」

「これは人事を尽くすためだ。決して仮装ではない」


まあそうだろうと予想はついていたけど。僕は緑間(ミイラ男)よりも、いつも以上にぼんやりしている高尾が気にかかった。


「なあ、熱でもあるの?」

「っ!いや、なんでもない。寝不足なんだよ」

「…………」


高尾の額へ伸ばした手を弾かれ、少し変な空気にしてしまった。目の前のこいつは無理して笑ってるし、僕は文化祭実行委員になっちゃうし。

ツイてないな、ほんと。

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