幼なじみ | ナノ

!とあるラッキーアイテムの災難な一日

×月◎日、雨。

外は雨が飽きるほど降っている。今は昼休みであり、私はおきあがりこぼしである。

持ち主である緑間の席の隣に、黒髪で短髪の優男そうな生徒が座った。

優男は私を見て、顔をひきつらせた。失礼な野郎だ。貴様を起き上げられなくしてやろうか。

当の緑間はケロッとしてるが。


「うわぁ……緑間、怖くないの?」

「何が怖いのだよ?」

「自覚ないのが更に怖い」

「なーに話して…うわ!何その不気味なの!?気持ち悪っ!」


センター分けの男も、優男に抱きつきながら悲鳴をあげた。

ん?こいつ、優男の腰に手を回して…!?優男は顔色一つ変えずに、センター分けに一発パンチを送った。


「あは、高尾が倒れちゃった」

「笑っている場合ではないのだよ。さっさと起こせ」

「ほら高尾〜起きなきゃ邪魔でしょ」

「う〜…栄司の熱いキッス……ほし、い……」

「……緑間、それ貸して」

「お前……変なことには使うなよ」


嫌な予感がする。タコみたいに唇を突き出してるセンター分けに、私の口がギャァアアアアアア!?!!!


「んぎゃっ!?」

「変なことに使うなって言ったのだよ!!もう触れなくなったのだよ…!」

「仕方ないな。高尾、洗ってきて」

「えーやだよ。てか、鼻がじんじんする…ちょー痛ぇ」

「高尾がちゅーしたの触りたくない。緑間もそう言ってる。お前が洗いに行くべき」

「いや栄司がするからこうなったんだろ!?」

「洗ったとしても触りたくないのだよ。新しいのを買って来い」


優男は仕方なくといった表情で席を立ち、緑間に「処分してくる」と言った。


「代わりのおきあがりこぼしを買って来い」

「僕にそんな金銭的余裕があると思っているの?」

「ない」

「だよね。高尾、そろそろ手を離して。痛い」

「あ、ごめん」


こいつら絶対呪ってやる…!泣きながら私はそう誓った。


「……なんなのだよ、これは」
「お金ないから、2次元おきあがりこぼし〜」
「ぺらっぺらなのだよ!!ふざけるな!!」

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