!第三者の
なんか緑間に話してすっきりした。そう言うと緑間は「そうか」と一言ぽつり。ていうか、何を読んでいるのかと思ったら、占いの本かよ。
「あ、僕と高尾の相性教えて」
「……【あなた達は相性抜群。もしかしたらカップルにもなれちゃうかも〜!?】だそうだ。田中の方が、アタックをしていけば恋は成就するそうだ」
「へえ、でも僕と高尾は男だからなあ……って、これ恋占いかよ!?ふーん、相性抜群か…」
「さっさと謝ってこい」
「…うん、そうしよっかな」
あーでも、顔をあわせづらいな。嫌な現実から逃避するために、目の前にいる緑間をいじってみよう。
ガタガタと席を立ち、緑間に近づく。おお、つむじが見える!見えるぞ!僕は手をキツネの形にし、それで緑間のつむじを突っついた。
ムッと眉間にシワを寄せる緑間が面白い。すると、横から僕の腕を掴まれた。驚いて見ると、高尾がいた。
「……高尾」
「なんなのだよ」
「真ちゃん、栄司借りていくわ。んー、あと5限目サボるから。センセーには腹痛で保健室に居るって言ってて!じゃ!」
「ちょっ、た、高尾!?」
「まったく……世話のかかる奴らなのだよ」
そのまま高尾に腕を引っ張られたまま、人気のない裏庭に来た。高尾は前を向いたまま振り返らない。「……なんで、この前から口きいてくれなかったんだよ」
自分が思っていたよりも、拗ねたような声が出た。うわ、恥ずかしい。高尾はそのまま答えた。
「俺のせいで、発作を起こしちまってさ。ごめんな」
あの高尾が凹んでいるようだ。お調子者で、能天気で、僕の憧れみたいなもの。
「別に、高尾は悪くないよ。僕が…この身体が悪いんだ」
「違う!!俺が、もっと、早く気づいて、いたら、こんなに…!」
振り返った高尾の顔は、涙で濡れていた。ポツポツと雨が降りだした。でも、僕の心はスッキリ晴れ渡っている。
「……嬉しい」
「は…?」
「高尾にこんなに心配されてさ、悪いと思うけど嬉しい。発作が起きた時も、一番心配してくれたのは高尾だし。緑間は話したのに、全然しなかったね」
「……そっか」
そう言って、雨に濡れた高尾をギュッと抱き寄せて、頭を撫でる。ギョッとびっくりしていた高尾だったけど、次第に僕へ身体を預けた。
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