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結構電話が長引いてしまった。あの先輩、長電話で有名で、近所のおばちゃん並みに粘り強い。
『田中はバスケの試合を観に行ってんの?』
「そうです。今、ウチと誠凛が始まったばかりで」
『えーマジか!悪いことしたなあ…』
「いやいや、そんなことないですよ」
そう思うなら早く切ってくれ!!僕は心の中心で叫んだ。先輩がそんなことに気づくわけもなく、それから…うわ、30分近く話してんじゃん!
急いで会場に入ったら、なんか静かになっていて、ちょっとビビった。あれ、僕の席の前に人が居る…?
「黒子っち出てきたっスね」
「火神をいきなりぶん殴った時は、どーなるかと思ったけどな」
えっ、黒子君がぶん殴った!?思わず声に出しそうになり、慌てて口を抑える。
あれ、なんか見たことがあるような顔……。あ、モデルの黄瀬涼太君か!
確か……バスケもしてたような…?まあそれはどうでもいい。黄瀬君に対する黄色い声もどうでも…いいっ…!
隣には高尾が尊敬している笠松先輩がいた。高尾が『やっぱ笠松先輩すげーわ!』って興奮していたのを思い出した。ていうことは、黄瀬君は笠松先輩と来たのか。僕ひとりぼっち、か……。
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