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緑間に「退け」と言われたので観客席に戻ってきました。あれもツンデレだって思うと許せるよ、うん。
ふと、コートを見たら緑間が赤髪の選手に絡まれていた。なんか手のひらに書かれているし。
「人気だな…緑間」
!! ちょっと、緑間が手のひらに乗せてんの…熊のぬいぐるみじゃん!!笑いたいけど笑えない。だって、一人だもの。
あーあ、剣道部の先輩か仲間でも連れて来ればよかった……。なんで一人で来たんだろう。
そんな後悔していたら、試合が始まっていた。
――――――
「秀徳の勝ち、か…。えーと、次は……誠凛」
誠凛と言えばあの黒子君の学校か。ていうか去年の誠凛って、三大王者にトリプルスコアでボロ負けしたよな…?つまり、今年はそれを乗り越えたのか。
「面白くなってきたな」
今頃高尾はまた緑間をいじってんだろうなあ。何となく会話が予想できて、笑いそうになる。
さて、誠凛はどうくるかな。僕は高みの見物と決め込むか。近くの自販機で買ったミネラルウォーターを、ごくりと飲んだ。
「……うわ、またにらめっこしてる」
あの誠凛の10番の気迫がすごい。観客席に居る僕にも伝わってくる。試合が始まるブザーが鳴った。
まずは誠凛か。うわ、秀徳でかい奴ばっかじゃん。誠凛の10番や8番も、結構大きいな。
「あ、電話」
バイブ音に気づく。マナーモードにするのはマナーだな。パカッと開けば、剣道部の主将の名前が。
せっかくいいところだけど、ペットボトルに留守番を頼む。わらわら入ってくる人を掻き分けて、出口を目指した。
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