幼なじみ | ナノ

!傍観

ノックをして「失礼します」と声をかける。中には高尾が居なくて、緑間ただ一人だけだった。


「あれ、高尾知らない?」

「高尾ならさっきトイレに行ったはずだが」

「すれ違いだったか……。これとやる気を届けに来たのに」


タオルを見てため息をつくと緑間が「ならばあいつが来るまで待つといい」と言った。


「そういえば、あの…黒子君と会った」

「そうか」

「結構小柄だったなあ。緑間が目の敵にしてたから、もっとガチムチかと思ってたけど」

「ふん、まあそういう奴が多いだろう。即ち…アイツのプレーはバスケに当てはまらないのだよ」

「……は?」


意味が分からず聞き返した。緑間は眼鏡をくいっと持ち上げ話し始めた。左手のテーピングはいつも通りに綺麗に巻かれている。


「バスケとは体格が良い者、ある程度器用な者が選ばれるスポーツだ。しかし、黒子は違う。アイツは、異質だ」

「異質…?」

「シュートもドリブルも素人と変わらないものなのだよ。だが、パスの中継には特化した……否、特化させられた選手だ」


緑間の回りくどい説明で目を回しているとガシッと頭を掴まれた。うわ、誰だよ!?


「つまり、黒子はやりにくい選手ってこと」

「んだよ、高尾か」

「お、タオルサンキュー!」


いきなり頭を掴まれたから心臓どっきどきだよ!高尾が驚いている僕を見て笑うから表には出さないけどね。

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