!喧騒
わーわー騒いでいたら左頬に冷たい感触が。思わず「うわぁ?!」と声が裏返ってしまった。恥ずかしい。
「うるさいのだよ、栄司。これでも飲んで頭を冷やせ」
「100パーお前らのせいだから」
「今の声録音したかったなーちぇ」
「すんなアホ」
渡されたペットボトルのふたを開けて飲む。騒ぎすぎて喉渇いた。喉を通る冷たさに目を細めていたら、高尾がペットボトルの底を掴んでいた。
「はーい栄司一気!一気!」
「んぐぐぐ!?」
急いで口を離し「何すんだバカ!」と怒鳴る。緑間はまた喧嘩かと言うように横目で見ていた。ムカついたから変顔してやった。
「ぶほぉ?!な、なんなのだよ栄司!!」
「緑間が寂しそうだったから、な?」
「何が寂しそうだ。むしろ迷惑なのだよ」
すると高尾が「ほら、真ちゃんってツンデレだから!」何のフォローだよ、それ。
俺と同じく呆れているのか、緑間も眼鏡を押さえてため息を吐いていた。僕達、お互いに大変な相棒を持ったな。
「あ、僕これやりたい」
「ゾンビゲーム…?」
「……お前ら二人で――」
「よし高尾!緑間をしっかり掴めよ!」
「あいよ!」
「や、やめるのだよ!!」
怖がっている奴がいなきゃ楽しくないだろう?
「もうお前らとは遊びたくないのだよ……」
「あっははは!真ちゃんしっかり〜〜」
「楽しかったな!また来ようよ」
「二度と行くか!」
案の定、緑間はびびりまくってずっと腰が引けていた。高尾は笑いながらゾンビを殺していた。僕はゾンビより高尾が怖かった。
「夢に出てきそうなのだよ……」
「トイレ行きたい時は、高尾に連絡しなって」
「おう、いつでも駆けつけるぜ」
「誰がするか!!」
(11/52)