!とある放課後の帰り道
「おーい!栄司おせーぞー!」
「あーわり、眠たくて眠たくてふわぁあ」
「おいおい、そんなんじゃ着いていけねーぞ。あ、真ちゃんこっちこっち!」
着替えを終えた緑間君が来てやっと家路につく。ちなみに、自転車を押しながら歩いているから超だるい。
「真ちゃんの出身校って帝光なんだってよ」
「帝光…?ああ、あのバスケ部がめちゃくちゃ強いところか」
「あそこは勝つことが全てだったからな。自然に強者が集まってくるのだよ」
「へえ、すげえな…」
素直に感心していると緑間君が顔をしかめた。
「なんか気に障ること言った?」
「いや…誠凜に行ったチームメイトを思い出してな…」
「あー黒子か!真ちゃん好きだねえ」
高尾はにやにや笑いながら緑間君を突っついていたが、目は冷たく苦しそうだった。
「じゃ、ここで」
「おう、また明日ー」
「またなー」
緑間君と別れて僕達は歩き出した。なんとなく、高尾に話しかけにくかった。
「そんな、落ち込むなよ」
「は?なんだよ、いきなり〜」
「高尾、僕は見てるから。お前が……努力してるとことか、さ…」
「ぶはっ!照れんなってー恥ずかしいわ!」
高尾は手で前髪をぐしゃぐしゃして、あーとかうーとかうなっていた。大丈夫か、こいつ。
「……まあ、栄司ちゃんのおかげで元気になった」
「お、おう…ってか、ちゃん付けすんな!」
「気にしない気にしなーい」
どんなに隠したって僕には見えるんだよ。
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