変身4
コンテストの内容は至ってシンプルなもの。とにかくラブラブなところを見せつければいい、らしい。

舞台袖で待機していると緊張してるのか、真琴の口数がどんどん減っていく。ため息を吐いて、でっかい手をぎゅうと握る。


「な、に?柚子」

「真琴、遙達に負けねえように頑張ろうぜ。緊張もほどほどにな」

「っ!うん、分かった」


へにゃっと真琴の柔らかい笑みを見て、ふと後ろを振り向いた。そして俺は驚愕したのだ。


「あ、愛に凛…?お前らっ、なんで……!」

「柚子!?」

「しーっ!!静かにしてよ柚子ちゃん達!僕たちの…命がかかってるんだから……!」

「い、のち…?イノキじゃなくてか?」

「ほら柚子、始まるよ」


大会の舞台は岩鳶町の大きなホールだ。そこで数々の試練がカップルに振りかかる。


その第一試練は、彼女の考えていることを当てるクイズだ。


「では彼氏さん、お答えください!」

「江は…鯖が好物」

「違います!それは先輩のでしょ!?」

「な、んでハルが江と……!柚子ならまだしも、よりによってハルかよ…」

「なんだよそれ。ていうか女装は愛なんだな。てっきり凛かと」

「松岡先輩の方が綺麗だから、僕もそう思ったのに…なかなか頑固で」

「柚子、俺達も行こっか」


差し出された手のひらに俺の手を置く。うん、ちっちえーな俺。

複雑な気分を振り払うように、目の前を向いた。よし!やってやるぜ!
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