変身3
とうとう本番である今日、俺は黒髪のロングヘアーのウィッグをかぶっていた。そんで渚が借りてきたお姉さんの小花柄のワンピース。
筋トレを少しの間だけ止めるようにストップをかけかられた。泣いた。
「ふむふむ、いいんじゃない?可愛いよゆずこちゃん」
「そ、そうか?渚も江ちゃんも可愛いぞ!」
「ふふ、柚子先輩の腹筋も美しいです!」
「……ゆずこちゃん?」
「腹筋ぐらいいいだろ!身体がなまっちまうんだよ!」
どこのアスリートなの!と渚に突っ込まれて思わず口を閉じた。
遙達が準備できたのか、待ち合わせ場所にぞろぞろとやって来た。俺と渚を見て、怜がひっくり返っていた。大げさだ!!
「あ、あり得ない……!渚君と柚子先輩が女の子にしか見えないだなんて!」
「しーっ!怜ちゃん声が大きいっ!」
「いやーそれにしても変わったね柚子も」
「うるせえ。はあ、早く優勝して終わりたい」
「……柚子」
「なんだよ遙」
遙の方を見れば、奴はじっと見つめてきやがった。なんだよ、こいつ……ちょっと怖いじゃんか!
「似合ってる。学校の制服も女子の方にすればいい」
「ぶっ!あはは、ハルひどいよ」
「〜〜〜っ! …いこーぜ、渚。こんなバカレシいらねーっつうの!!」
「あ、こら柚子!先にいくなよ!」
くそ、ムカつく。うつ向いたままの俺を心配そうな目で渚が見ていた。