海の味がした
できた……ついに、ついに最高傑作が完成した…!手は傷だらけで我ながら女の子の手じゃないと思うけど、まあ目の前の傑作ちゃんを見るとどうでもよくなる。
「よし!あとはラッピングして…ってもう6時ぃ!?」
いつもなら起きる時間だけど今日は徹夜だ…。黒子くんに今日はテツヤだったんだ☆って言ったら飽きられるかな?
「学校違うから言えないけどー。くしゅん!うぅ…ちょっとさびー…」
もうすぐ冬か。秋田に来て初めての秋。あっくんに着いていくって決めた昨夏からもう1年経ったのか…。
「あ!早く準備しなきゃ…!」
慌ててエプロンを脱ぎ捨てラッピングに取りかかった。
―――――
「おはよー!」
「はよ〜」
下駄箱で朝の挨拶を交わしたが特に異常なし。うーむ、これはいつ渡そうかな…。
ぼんやり考えてたらあっくんに「先に行くから〜」と言われて慌てて追いかけた。―――――
ヤバい…とうとう放課後になっちゃったよー!!いつ渡そうかうろうろしてたらこんな時間に……。あ、練習に行っちゃうよあっくんんんんん!!!
「なに一人で百面相してんの?」
「それは…ってあっくん!」
「その呼び方止めない?」
「やめません!ここここ…これ!あげる!」
勢いでやっつけたけどいいよね!うん!ラッピングに包まれた物をあっくんが受け取りやすいように掲げる。正直辛い。
「あープレゼントってやつね。どれどれ〜?」
「ど、どうかな…?」
「……………………」
「あ、あの紫原さん?」
「不味い」
「…………え?」
「桃ちんの遺伝を受け継ぐレベル……」
「あ…えっと………ごめんね!また作りなおすから…」
じわじわと滲む世界。ああもうあっくん困らせてるじゃん!笑わなきゃ。不味いの食べさせてごめんねって謝らなきゃいけないのに、出てくるのは嗚咽だけ。
「あーもう!」
「ああ゙あ゙あ゙っくん゙!?」
「鼻水つけたらぺちゃんこにしてやるし」
「……鼻水づげでやる゙ぅ!」
ずるずると鼻水を引っ込めようとしたら、紫色のハンカチが顔を覆った。あ、去年あげたやつ。 Happy-Birthday Murasakibara!!!
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