私の彼氏は吸血鬼 

突然ですが、私の彼氏は吸血鬼です。

放課後、人の気配がない図書室に私と彼氏の黄瀬君だけがいました。黄瀬君はバスケの指南書を読んでいました。私は夏目漱石の河童を。


「あーみのりちゃん、暇!遊びに行こう?」


ぱたんと本を閉じて何を言うかと思ったら。やっぱり黄瀬君は外で走り回るワンちゃんですね。


「行きたいなら黄瀬君一人で行ったらいいじゃないですか。私は本を読みたいんです」

「えー行こうよー」

「嫌で、っ!痛い…」

「わっ!?ごめん!」


黄瀬君が私のセーターを引っ張ったせいか、私は紙で指を切ってしまった。ぷくりとふくらむその半球体に、彼氏はじっと凝視していました。


「……舐めますか?」

「えっ、あ、いや!舐めたら歯止めが効かなくなっちゃうし」

「いいから、早く」


私の彼氏は吸血鬼です。黄瀬君から告白されたのは、一ヶ月も前のことでした。彼は深刻な表情でしたが、何故か吹き出してしまいそうだったのを覚えています。


「っ、ぁっ…」

「ん、っ、ちゅ」


黄瀬君は私から少しずつの血をもらっている。でも、ただ日常生活を続けるだけで消費される。

更にバスケ部に所属しているから、運動量に応じて血液も必要になってくる。

もし血が足りなくなったら、黄瀬君は暴走してしまうのです。それは大変由々しき事態なので、もし発生してしまったら、とてもヤバいです。

ただ、吸われるのはいいのですが、少々…いやかなり気分が高まり、目の前にいる黄瀬君を押し倒して身を重ねたいと発情してしまうのが難点です。

現に、今も。


「はっ、みのり、えろい顔してる」

「っ、きせく、んっ、」

「ごめん、やっぱり歯止め利かない」


黄瀬君は綺麗な顔をぐしゃぐしゃに切なそうにして呟くので、私の胸は熱くギュッと締め付けられました。


「ふ…っ、仕方、ないです」

「……みのり、その顔反則」


ふっと笑って黄瀬君の顔が近づいてきた。私は目を閉じ、彼の背中に手を回した。


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