うっせえよ!
「花宮」
「ああ、田中先輩ですか。来ていたんですね」
「私が来ないと思ったんだ?」
そう言って笑えば、花宮は「俺のことが嫌いだと思っていたんで」と答えた。
バレていたか。そう呟けば、花宮は眉根を寄せた。木吉と違って、表情が分かりやすい。
「田中先輩、何故俺のバスケを認めてくれないんですか」
「その答えならとっくの昔に見つかっているでしょ?」
「…………はあ。困った先輩です」
「こっちがため息吐きたくなるよ。あんなプレー、負けて当然じゃない」
「そうですかね?少なくとも、俺は勝てる自信と実力が100%ありました」
ドンっと壁に押さえつけられた。身動きが取れないのは少々不安だ。あと目の前の花宮も。
「誠凛には、それらが200%あったってことだよ。残念だけど、今のままじゃ」 「うっせえよ!そんなの分かってる!俺は…俺は……」
ぶるぶる肩を震わせ私にすがり付く花宮。そうよ。貴方にはそれがお似合いじゃない。
雨がザアザア降ってきたけど、体育館の裏だし、屋根が付いてるから安心だね。
私はそっと花宮の肩に手を置いた。君がもっと、堕ちますように。
Title:卑怯者
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