陳腐な言葉よりも、もっと 

かずなりーってなんかコロ助みたいだな、と目の前でポテトを摘まむ恋人に向かって呟いたら、ぶはっと吹き出してきた。きたねえ。

「え、いきなり、っくく!ぶははは!だめだわ……!けっこーあとからくる…ふはは…!」

「かずなりー」

「やめろって京介、っぶは!」

「お前の笑いってなんか発作的だよな、かずなりー」

「はあっ……。よし、慣れた。発作的って、ほんとーに面白くなきゃ笑わねえって」


京介が面白すぎんだよ、と和成はポテトの先で僕を指す。躊躇いもなく、それをぱくりと頬張る。ん、しょっぱいな。

すると和成は顔を横に背けて、ぷるぷる震えていた。なんか小動物みたいで可愛いな。いつもは僕の方が小さいから、和成に「かわいーな京介は」と頭をわしゃわしゃ撫でられる、けど。

今、僕は撫でたくなった。和成を。それこそさっきの彼の笑いみたいな発作的に。


「わっ!京介…?」

「撫でたくなった」

「……発作的にか」

「うん。和成がほんとーに可愛いから」

「……ふうん、もっと撫でてよ」

「いいよ」


ファーストフード店の一席で僕たちは何をやっているんだか。きっと真太郎など身近な知り合いに見つかったら、赤面するのだろう。

でも、やめたくない。発作的に、中毒みたいに、触るのをやめたくなかった。

和成に触れると想いとか気持ちとか、言葉なんかにのせなくてもいいくらい十二分に伝えられている気がするんだ。

彼が林檎みたいに真っ赤な顔でストップをかけるまで、僕は撫でるのをやめなかった。


「ふふ、林檎みたいだね」

「誰のせいだ馬鹿」

「和成もノリノリだったくせに」


ぱくり、と口に入れたポテトはやっぱりしょっぱい。


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