鎖で繋ぎ止めよ
俺の恋人である黒子テツヤは、自分の可愛さを自覚していない。あんなおっきな目をして、上目遣いなんてしたら知らないオッサンが襲う!!絶対!!
「だから、監禁したと」
「監禁じゃない。ちょっと早い同棲だ」
「……はあ、馬鹿ですか。そんなに心配しなくても、」 「ほらそういうとこ!そこが一番駄目なんだよ!いいか?テツヤは可愛いんだ!そこらへん自覚しやがれ小悪魔が!!」
「すみません……意味が分かりません」
後ろ手に手錠をしているので、項垂れるテツヤ。ああもう、こういうのも可愛いんだよ好き!
とにかくこれ、外してください、とテツヤが上目遣いであざとくおねだりするが、無視だ無視!堪えるのだよ京介……!
「そんなに、信用がないんですか…?」
うるうると瞳を潤ませながら上目遣いなんて……反則だー!!思わず手が出てしまった。
打たれたのが意外と効果的で、テツヤはそれ以上何も言わなかった。はあ、よかった。こう見えて、あまりお喋りは好きじゃないんだ。だから、口を、喉を引き裂いてしまうところだった。
「テツヤ」
「ッ……!」
俺が名前を呼んだだけなのに、必要以上にびくびくすんなよ。虐めたくなっちゃうからさぁ。とか思っていたら、また手が出ちゃった。
次は二発。ちょっと頬っぺたが赤くなっちゃったねー可愛い。べろりと舐めたら、とうとう泣き出してしまった。ああ、泣かないで。ごめんな、もっと手加減していかなきゃいけないよな。
「京介君はッ、ボクが……嫌いなんですか!?」
「……嫌いじゃないって」
「じゃあ、どうして」
「大好きだよ、愛してる。でも、テツヤを傷つけたい。ダメかな?」
「いや……いやです」
ぐずぐず泣き出してしまったテツヤ。ぎゅっと抱きしめたら、嫌だ嫌だと更に泣いてしまった。
ああもう、やっぱり俺のテツヤは可愛いなあ。だからこそ、鎖で繋ぎ止めなきゃね。
逃がさないように。
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