なんたって僕はラッキーボーイ
「距離をおこう」
「は?」
只今、緑間さん家の真ちゃんのお部屋にて、恋人から驚天動地な発言が。……ってえええええ!?
「え?!俺のえっちが下手くそ――」 「そ、そういうことではないのだよ!」
「じゃあ……何が悪かった?俺、変なことをした…?」
じっと真太郎を見つめたら、視線を逸らされた。ああ……俺たち、終わりなんだなあ。同性同士ってのはやっぱりダメだったのかな。俺じゃダメだったのか。
「その、俺のせいで…だな」
「うん……」
「京介をっ……不幸にしてしまうと…!」
「は?なにそれ?」
「……この占い本に、書いていたのだよ」
真太郎が出してきた本に目を落とす。まさか、マジで信じてるの…?そう聞くと真太郎はこくりと頷いた。あ、ちょっと可愛い。
「ふっ…あっははは!」
「な、何がおかしい?」
「んなもん破っちゃえばいーの」
びりびり、びりびり、占い本に思いっきり力をこめて破っていく。その様子を真太郎は呆然と見ていた。最後の破片を指に挟み、真太郎に見せつける。
「あのな、こんな占い本の方が信憑性があるっていうの?」
「……まあ、そうなのだよ」 「…ムカついた」
「京介…?んっ、」
膝立ちになり、真太郎の唇を貪る。最後にぺろりと舐めて目を細める。真太郎の耳がじわりじわり赤くなっていく。
「今、ちょー幸せ」
「はあっ……馬鹿なのだよ、京介は。自ら不幸に成ろうなんて」
そのままぎゅうぎゅう真太郎を抱きしめると、背中におそるおそる手が回された。その温かな感触に頬が緩んだ。
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