おてて繋いで 

吐き出す息の白さが外の寒さを語っていた。隣の黄瀬も寒そうに首をすくめている。あーもっかいマジバに戻りたい。そう本音を漏らすと黄瀬が苦笑した。


「ダメっスよ。帰れなくなっちゃう」

「いーよ、別に」

「ほらほら帰るっス」


とんとん、と背中を押してくる黄瀬になんだか子供扱いされたようだ。ムッとなり、黄瀬を見たら手を差し出していた。どういう意味だ。首を傾げたら、


「寒いなら手を繋ご。暗いから分からないし」

「……ん」

「ふふ、いい子っス」

「子供扱いすんな」


ぎゅうっと握ったら黄瀬が目を見開いて「いた、痛い!痛いっス!」と離しそうになった。離れんなよ。小声で言ったつもりだったが、黄瀬は聞き取ったらしくだらしなく笑った。


「黄瀬キモい。キモ瀬」

「はいはい離れねえっス!死んでも離れないから、ね」

「…………ウザい」


恥ずかしくて顔を下に向ける。繋がれた手はぎゅっと握るけどな。鈴木っち、可愛いっスってほざきやがるのでデコピンした。


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