あなただけに
手に握った物に目を落とす。……どうしよう。迷っていたら、氷室先輩がたくさんの女の子達からプレゼントを貰ってた光景を思い出してしまった。
「どうしよう……」
目の前にはゴミ箱。彼女でもないのに……手作りなんて、重いよね。決心した私はそれをゴミ箱に入れようとした。
「みのりは俺のプレゼントを用意していないのかい?」
「うわぁあ?!ひ、氷室先輩…!」
「ひどいな、そんな幽霊を見たような顔をして」
「ちっ、違います!だ……だって、いきなり氷室先輩が……」
恨めしそうに氷室先輩を見上げれば「ごめん、ごめん」と頭を撫でてくれた。……嬉しい。
「それで、俺へのプレゼントは?」
「えっ、あ、その……」
「もしかして、みのりが持っている物?」
「いや、その…って、氷室先輩?!返してください!」
「あれ、氷室先輩へって書いてあるけど?」
「〜〜〜〜っ氷室先輩のイジワル…」
「睨んでも可愛いだけだよ。開けてもいい?」
もうどうにでもなれ!やけくそになった私は「……どうぞ」って顔を背けながら言った。
「マフラーか!うん、長さもぴったりだ。もしかしてこれって」「……手編みです。重いですよね、そういうの……すいません」
「全然重くないよ。嬉しい。どう?似合う?」
「……かっこいいです」
それを聞いた氷室先輩は、目を丸くしたあと、ちょっと恥ずかしそうにはにかんだ。
「ふふ、今年の冬は温かく過ごせそうだな」
「そーですか」
「あとで大我に自慢しよっと」
「そーですか。って、止めてください!恥ずかしいです!」
「あはは、みのりの恥ずかしがる姿を見られるならバスケ部のみんなにも言おうかなー」
「ひっ、氷室先輩なんかもう嫌い…!」
また氷室先輩が子供をあやすようにごめんねって頭を撫でた。……子供扱いされるのは嫌だけど、撫でられるのは好きなので素直にする。
私も氷室先輩に釣り合う女性になります!って宣言したら笑われてしまった。悔しい。
Happy-Birthday Himuro!!!
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