それは初恋
放課後、いつものように屋上へ向かう。さつきに見つかるとうぜーからさっさと行くのが一番だ。ドアノブに手をかけようとしたら、ぐいっと向こうから引っ張られた。
「ああ、青峰か」
出てきたのは同じクラスの奴だった。爽やかな雰囲気だけど、腹の中は真っ黒だろうな。俺のカンだけど。
「また明日なー」
「おー」
適当に挨拶をして、さあ屋上に入ろうと……泣き声が聞こえてきた。何か嫌な感じがして急いで入る。
「っ、青峰」
「んだよ……みのりか」
「……悪かったな、私で」
いつもちょっかい出している女子、みのりがぺたりと座っていた。目をシャツで擦っているのを見て、さっきの泣き声はこいつのもんだってわかった。
「なんで泣いてんだよ」
「アホ峰には関係ねーし、泣いてねーし」
「アホじゃねーつってんだろ!あんま擦ると赤くなるぞ、ほれ」
「わっ!えーアホ峰ってこんな可愛いハンカチ持ってんの…?キモー」
「ちげーよ!俺が怪我した時にさつきがくれたんだよ」
ふーんと言いながら素直に涙を拭くみのり。……ていうか、さらに涙が出てきてね?それを指摘すると「うっさいバカ!」なんだよこの女。
「泣いてなんかっ…ないし!ふぇっ……ひっぐ…!」
「あ゙ーもうなんで泣いてんだよ?アイツに何かされたのか?」
「なんも、されてなっ…うえ!ずるるる……私が、フラれただけ…だし…………」
「あっそ」
なんかムカついた。よくわかんねーけど、胸がモヤモヤして、喉に何か詰まって、目の前のみのりを撫でたくなった。から撫でてやった。
「ひゃ!?ななななにしてんだよアホ峰!」
「うっせー黙って撫でられとけ」
「…………ふん」
また目から涙が溢れてきたみのり、可愛いな。あとコイツを独占してーな。そう思いながら目尻にキスを落とした。
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