この夜空全てを君にあげたい
23時49分、俺、伊月俊が最後の16歳を過ごしていた。まあ、最後だけに母達からは最高に祝ってもらった。
ベッドに寝転がり、もうすぐで3年か…引退、するのか……とちょっとセンチメンタルになっていた。
「あ、鈴木…」
同じクラスの鈴木からメールがきていた。見てみると『そたとたをたみたろた。たぬき』としか書いてない。たぬきはた抜き…!
「外を……見ろ…?外か!」
窓を開けると「おー伊月ー!」なんか頭が痛くなった。急いで上着を羽織り、外へ出る。
「鈴木!お前何時だと」 「ハッピーバースデー伊月ー!」
「……は?」
「いや〜メールでもよかったんだけど、直接言った方がいいだろ?」
「そういう意味じゃなくてな……はあ、とりあえずありがとう」
「どーいたしまして!あ、そうだ。プレゼント渡したいからここ乗って」
ぽんぽん、と叩かれたところは自転車の後ろ。まさか二人乗りか…?
「ダメだ、鈴木。俺も後ろからついてくるからさ」
「ちぇー。じゃあはぐれないようにしっかりついてこいよ!」
――――――
着いた場所は夜景で有名なデートスポットだった。なんだ、嫌がらせか?
「伊月、伊月、横を見るのもいいけど、上を見る方がいいよ」
「上…?うわ…ぁ」
星がキラキラと瞬いていてまるで宝石箱からばらまいたようだ。
鈴木が「ホシはこれくらいホシいだろ?」とにこにこしながら言った。それいただき!
「鈴木、ありがとな」
「ふふん、これくらい京介様に任せればちょちょいのちょいだっての!」
ちょっと耳が赤くなっている鈴木を見て笑った。最後の16歳の夜は忘れられそうにないな。Happy birthday Iduki!!!
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