星だけが私達を見ていた
今夜はオリオン座の流星群が観られるってことで近くの橋に来た。ここなら暗いし、観測にはもってこいだ。
「あれ?黒子君じゃん!」
「こんばんは。田中さんも流星群の観測ですか?」
「うん!流れ星に願い事するの」
「そうですか。ただ…女の子一人きりで出歩くのは頂けないですね」
黒子君が難しい顔をして私を見た。すいません、よく出歩いてます。
「まあまあ、今日は観測だし、ね?」
「……仕方ないですね」
ジト目になりながらも了承してくれた。なんかお父さんみたいだなあ。ぴゅうっと冷たい風が私達の間を通る。寒い……。
「ふえっくしゅん!うあー寒い…」
「これ、着てください」
「いやいや、これ着たら黒子君ちょー寒そうだよ」
「平気で…くしゅん!」
「…………」
「…………」
私達は無言で肩を寄せ合い、夜空を眺めた。上着を半分こしながら。右肩は寒かったけど、左肩と心は熱くて緊張していた。
「あっ、流れ星!」
「ええ?!どこどこ?」
「あっちです。あっ、こっちも」
「えーとえーと、黒子君と両想いになれますように!!」
無言。あれ…?なんか私、願い事が漏れちゃった感じ?流出しちゃった感じ?
「…………え?」
「……………………ああああ!?いやいやあー違う!ううん、違うんじゃなくてあーえーと、その」 「田中さんと両想いになれますように!!」
「く、黒子君…?え?えーとその、どういう…?」
「そのままの……意味です」
顔に熱が集まるのを感じた。それを見て、恥ずかしそうにはにかむ黒子君も真っ赤になっていた。
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