人工呼吸の仕方について 

※帝光



世界がクラクラして、まるで僕が回っているようだ。ちかちか、ちかちか、暗転したり真っ白な光に包まれたりと忙しいものだ。


「っは、ぐぅ…!」

「ねえ、京介、聞いてる?」

「聞いて…っ!ぐぇ」


聞いてる?じゃないよ赤司君。一体全体なんだよこれ!!僕は今からテスト勉強を赤司に教えてもらうために教室に居たのに。

押し倒されて、赤司が馬乗りになって。なんで、僕は、どうして、首を。ああ、酸素が足りなくて死んでしまう。


「あか、し…」

「なぁに?」

「さんそ…!」

「ああ、窒息死するって?安心しなよ、」


俺が酸素を送るから

そう赤司が言った瞬間、顔を近づけてきた。逸らせない、目を。僕が目を奪われている間、赤司は唇を合わせていた。


「んっ!?」


気持ち悪い。思わず目をぎゅっと閉じてしまった。ぬるりとした舌が僕の固く閉ざした唇をトントンと叩く。誰が開けるか!

ゆるり、と首を絞めていた指が緩み、僕は息を求めた。油断だった。

赤司のぬるぬるとした舌が這いずり回り、僕の舌を絡めてくる。もう首の拘束は外されて、視界が真っ暗なはずなのに、ぐるぐる、ぐるぐる。

ああ、気持ち悪い。

「はっ、はっ、はっ…!なに、すんだよ…!」

「なにって、人工呼吸じゃないか」

「あんなの……あり得ない!」


ごしごしと裾で拭うが気持ち悪さは全然取れない。むしろ悪化していく。


「まだ足りない?」

「ひっ…来んな!もう、帰るから!」
「帰らせないよ」


肩を押されてまた仰向けになる。赤司がにやりと笑いながら僕の頬を撫でた。

ああ、気持ち悪い。


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