あなたのハートもキャッチ☆
頭がガンガンして喉はヒリヒリして身体の節々が痛い。
『風邪ですね』
「だからさ…ゴホゴホッ!ちょっとポカリとかのど飴とか買って来てください……」
『分かりました。すぐ行きます』
「ゴホッ…待ってる。着いたら置いてて、って切れてるし…っくしゅん!」
ひんやりした感覚に目が覚める。ぼんやりとした視界に水色の粒子が見えた。
「黒、子…」
「熱が高いですね。おかゆは食べられそうですか?」
「無理かも……ポカリちょうだい」
黒子から手渡されたペットボトルをごくごく飲んでいく。ああ美味しい。これがアミノサプラーイズなのだ。
「ゴホッゴホ!あ、お金…」
「ツケておきますね。はい、あーん」
「あーんって食べられるし…りんご?」
「すりおろしたりんごです。あーん」
黒子が真顔でスプーンを差し出してくるので、渋々口を開けて食べた。それに気をよくしたのか、雛に餌をやる親鳥みたいに食べさせ始めた。
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
黒子が食器を片付けようと立ち上がる。俺はギュッと服の裾を握り黒子を見る。
「……鈴木、君」
「もう少し、そばに居てよ」
熱に浮かされて思考があやふやだ。しかし、黒子が見えなくなるのは寂しかった。彼は傍にあったテーブルに食器を乗せ、俺の手を握った。
「もっとぎゅって握って」
「……ぎゅ」
「ふふ、きもちいな」
「っていうことがあったんですけど鈴木君聞いてますか?」
「違う!!俺じゃない!断じて違う!」
(キュン)
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