青空の向こう側
※帝光
今日のように天気がいい日は屋上で食べるのが一番。あと女子の喧しさからも逃げられる。そう思い、俺は屋上への扉を開いた。
女子が居た。
居るのは別におかしなことじゃない。ただ、立っている場所がおかしかった。
「あの…そこ危ないよ…?」
「やあ、元気かい?」
振り返った少女は綺麗だった。黒髪が風になびき、今にも落ちそうな細い身体。帝光(うち)の制服を着ていたから多分生徒なんだろう。
「まあ…元気だけど…ていうか質問に答えて!」
「ふむ、そこに風があるから」
「マジで言ってます?」
「マジ、マジ。マヂで、大マジだよ」
はぁっとため息を吐く。何だか疲れた。馬鹿らしい、こんなのは放っておいてさっさと飯を食べよう。
「あーん」
「………………」
「あーん」
フェンスの向こう側に立つ少女は大きな口を開けて昼飯を要求してきた。やらねーから。
「……ふむ、私は自殺をしようとは思ってない」
「今のあんたを見たら、百人中百人は自殺と思うけど」
「おや、金髪君、君はその百一人目に成りたくないのかい?」
俺は百人目だから成れねーっての。その言葉はミネラルウォーターに流された。
「つれないな。今のを聞いてそのパンの一口くらい……ん?」
もう一個買っていた未開封のパンを差し出す。まるで公園にいる鳩に餌付けしているみたいだ。
「ほら、これあげるからこっちに来なさい」 「嫌だ」
頑固者だなと俺はまた一口頬張った。
続く…?
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