短編 | ナノ


かまってちゃん

生ぬるい暴力表現あり




静雄に殴られた。私はただそれを受け止めるだけ。静雄は不安になると私に暴力を振るう。

ただ、私はそれを受け止める。それだけだ。


「ごめん…!ごめんな…名前!俺……俺…!」

「し…静雄……っげほ!いいよ、私が悪いもん」

「ごめん…!ごめん…!」


静雄は殴ったり蹴った後は、優しく抱きしめてちゃんと治療してくれる。その優しさに救われている。


「ふーん…でもさあ、それってデートDVってやつじゃないの?」

「なんでそんなふうに言うの?臨也」


優雅にブラックコーヒーを飲む臨也とは、特に親密な関係はない。まあ、静雄が臨也のことを嫌っているのは知ってるけど。


「ああ、君がシズちゃんの暴力を訴えない理由は、何となく予想がつく」

「そう」

「へどが出そうな理由、がね」




「あ、静雄。いらっしゃい」

「……おう」

静雄が不機嫌だ。何か機嫌を損ねるようなことをしたかな、と思い出していたら押し倒された。


「名前、お前……臨也の野郎と会ってたよなぁ?」

「そうだね」

「なんであんな奴と会うんだよ!!」

「わかんないな」


ぎりぎりと首を絞められて息ができない。


〔君は愛されたいんだ。まあーあんな化物に愛されたい理由は理解し難いねえ〕


「しずお…だいすき」


その時だけ静雄が私だけを見ていてくれて、この傷が愛の証なのだ。
つまるところ、私は重度の構ってちゃんなんだろうなあ。


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