10 部活の練習の僅かな休憩時間、青峰が天野の様子を聞いてきた。俺はあの事について語るべきかと悩んだが、また彼が暴走するだろうと思い、当たり障りの無いように言った。
「そうか。アイツ、友達がすくねえみたいだし、ちょっと目をかけてやってくれよ」
「何故俺なのだよ…」
「学級いいんちょー、だろー?」
ポーンと投げた青峰のボールがゴールに吸い込まれていく。俺は溜め息を吐いて、眼鏡のブリッジを押し上げた。
「どうしたんですか、緑間君」
「くっ、黒子か…気づかなかったのだよ」
「最近溜め息ばかりですね。何かあったんですか」
目敏い黒子が気づいているのだから、赤司はもっと早くから気づいていただろう。
そんな下らないことを考えながら、ここ最近天野に絡まれることについて話した。
「いいんじゃないですか?別に」
「良くはないのだよ…。面倒なものには巻き込まれたくないのでな」
「友達とはそういうものではないでしょうか」
「友達…?俺とアイツがか?」
そう尋ねると黒子は頷いた。…何ということだ、アイツと俺は友人だと思われているのか。
青峰はそう言った黒子に対して「恋人はダチ代わりにはなんねえのか」と聞いていた。
「え、ああ、多分…難しいかと。もしかして青峰君、」
「休憩終了だ。再開するぞ」
赤司の声とホイッスルで全員話を止めて集まる。もしかしたら、あの送りに行った日、青峰と天野に何かがあったのかもしれない。
しかし、それに俺は関係のないことだ。そう思って邪な考えを振り払った。
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