駆け巡れフィーバー
翌日の放課後まで渚に教えたくて、我慢するのが辛かった。怜ももちろん同様に。
そわそわする僕達二人に、渚は「僕に何か隠してるんでしょ!!」と追及してきたけど、頑張って避けた。
そして来る放課後、僕と怜は先にプールへ来ていた。怜は紫色のラインが入ったものを、僕は水色のラインが入ったものを着用した。
久しぶりに泳ぎたくなった。きっと、怜の横なら自由になれるはずなんだ。
胸のどこかが、違うと違和感を訴えていたけど無視をした。
「え…もしかして皐月君と勝負ですか…?」
「いや?」
「いえ…。じゃあ、ハンデをもらいましょう。5秒後に来てください」
「いいよ。……テイクユアマーク…セット!」
僕の合図で飛び込んだ怜の背中はとても綺麗だ。鍛え上げられていて、努力してきた証と誇れる。
さて、僕も行こう。きっかり体内時計で5秒測って水に飛び込んだ。
久しぶりだ、この感触は。何も囚われずに、ただひたすら自由に、奔放に泳ぐ。
目の前を泳ぐ怜の気配を捉えた。あ、ちょっと焦ってる。その間にも水をかき分けて、距離を詰めていく。
ターンに入る。キック力は同じだけど、技術的には僕が上だからリードしていく。
もっと、もっと前へ…狙いを定めて、そこへ一直線に突き進む。
「っはあ!!はあっ……あ、遙…?」
「……お前、そんな風にも泳げるんだな」
「ははっ…何、それ?」
プールサイドに立つ遙から注がれる視線を振り払うように、適当な笑みを浮かべた。
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