帰り道のアンサー
やっと合流できた遙の顔は、何だか曇っているように見えた。天方先生に学校で降ろしてもらって、家へと向かう帰り道に聞いてみた。
遙は口をつぐんだまま、何も喋らない。真琴先輩は苦笑して、「ほら皐月が困ってるよ」とせっついた。
「…凛に、言った」
「何を?」
「お前に告白されたこと」
「っげほ!けほけほ!」
「真琴先輩、大丈夫ですか!?」
ペットボトルのジュースを飲んでいた真琴先輩がむせた。いつもはこんなことないのにな。
たぶん、ていうか絶対遙の言葉に動揺したのだろう。ごめんなさい真琴先輩。
「こ、告白!?聞いてないよハル!!」
「言ってない」
「で、それが何の関係があるんですか」
「…俺が、後悔しただけだ」
本当は違うことを言いたかったのだろうけど、遙は何も言わなかった。
だから僕も言わない、聞かない。現実逃避、みたいだ。二人の沈黙に堪えきれなくなった真琴先輩が、居心地悪そうに口を開いた。
「そ…それで、ハルと皐月は付き合ってるの…?」
「いや、フラれました。それも盛大に」
「誇張表現はやめろ」
「そっか…」
「真琴先輩、安心しました?」
「…うーん、なんというか、やっぱり?みたいな感じかな」
やっぱりってどういうことですか、と真琴先輩に聞いたら、頬をかきつつ「二人とも似ているようで、似てないんだ」とよく分からない答えを返してきた。
僕が首を傾げていると、遙は「もういいだろ、その話」と断ち切ってしまった。
夕日がオレンジやら赤やらで染める帰り道を、珍しく黙々と三人で歩いた。
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