ふわりとスウィートニング
階段で眠りそうになっていたら、とんとんと優しく肩を叩かれた。葉月だ。
寝ぼけた顔で見上げたら、葉月の表情が逆光で見えない。はづき、と呼べば柔らかい声が降ってきた。
「皐月ちゃん、ここで寝たら風邪ひいちゃうから。ね?」
「ん……うう、はづき」
「ほらほら行くよー」
「まって……」
よろよろした動きになりながら、必死に眠りそうになる頭を動かす。ねむい、早く布団で寝たい。
「もうちょい端に寄ってよー」
「ん、も、押すなって」
「だって僕が寝られるとこ無いじゃん」
「わかったわかった」
ベッドに着いたのはいいが、生憎ソファや敷布団がない。仕方なく男二人、同じベッドで寝ることにした。
めんどくさい、早く寝たい。葉月に背中を向けていたが、ぐるりと回転して葉月の背中を抱え込む。ん、よしいい感じ。
「ひゃあ…!ちょ、っと皐月ちゃん……!!」
「うるさい……ねるぞ、つかれた」
「ええっ、ちょっとこれで寝れないよー!」
「……すー…すー」
「……あり得ないんだけどー!」
朝、起きたら葉月に睨まれた。昨日の記憶を思い出して、すこし恥ずかしくなった。
「もー!皐月ちゃんのせいで寝れなかったよ!!」
「ごめんごめん、だってちょうどいい抱き枕だったから」
「〜〜〜っ!!もうっ、皐月ちゃんと寝ないから!」
「そーかそーか」
納得していたら葉月に「ちょっとは寂しがれ〜!!」とぽかぽか叩かれた。……ちょっと乙女?心は分からない。
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