きらりとスパーク
『皐月ちゃんも、ハルちゃんと同じくらい愛されていると思うよ?』
お湯に浸かりながら葉月の言葉を思い出す。葉月は今にも寝そうだったから、先に入らせて寝かせた。
「愛されている、か」
僕の独り善がりな思考だったみたいだ。ため息を吐き、浴槽から身体を出す。風呂ってすごいよなあ、浸かるだけでも癒されるんだから。
身体をバスタオルで拭いていると、解錠する音が聞こえてきた。まさか、と身を強張らせる。
急いでパンツやらスウェットやらを着て、玄関を見るために廊下を歩く。
「ああ、ただいま皐月。お友達が来てるの?」
「…うん」
「そう。泊まらせるなら、連絡しなさい」
「………わかった」
連絡したって母さんは出ないだろう。ていうか聞くかも分からないし。
「そのお友達、どこにいるの?」
「部屋」
「ふうん…。ああ、お母さん明日は早く出るから。ご飯はよろしくね」
「うん」
必要最低限のことしか話さない。僕はそっとため息を吐いて、階段を上ろうと見上げたら葉月が立っていた。
「ごめん、トイレ借りたくて…。あと挨拶した方が、」
「いらないから、いいよ。早くしなきゃ漏らすぞ」
「っ!そうだった〜」
慌てて足音を立てないように走る葉月の背中を見送る。葉月が来るまで待ってておこう。もし、鉢合わせになったら困るから。
「……疲れた」
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